北海道湧別町にも、本格的な初夏がやってきました。
放牧地では青々とした牧草が勢いよく伸び、グラスフェッド黒毛和牛たちにとって柔らかい1番草をお腹いっぱい食べられる嬉しい季節。

それと同時に、この時期の牧場は一年の中でも特に忙しくなる「1番草」の収穫の季節。1年分の飼料づくりという大仕事も進められます。
1番草とは、雪解け後に最初に大きく育った牧草のこと。栄養価が高く、冬場の牛たちを支える大切な飼料になります。
収穫のタイミングは、まさに天候との勝負です。雨に当たると品質が落ちてしまうため、空模様と天気予報を何度も確認しながら作業日を決めていきます。

今年も晴れ間を逃さず収穫を進めることができました。
とはいえ前半は好天に恵まれましたが、後半は雨雲との競争となり、夜中の3時まで作業が続く日も。それでも牧草を雨に当てることなく一連の作業を終えられたことに、牧場では大きな安堵が広がりました。

刈り取った牧草はロール状にまとめ、一部はそのまま乾草として倉庫へ。残りはラップで包んで発酵させサイレージ(発酵飼料)として保存します。北海道の長い冬を健康に乗り切るためには、この時期の牧草づくりが欠かせません。

▲サイネージはこのようにラップで包んで発酵させます
放牧で育てる牛たちにとって、「良い草を育てること」=「良い牛を育てること」と言ってよい、重要な仕事。その土台となるのが、この1番草の収穫です。
「ひとのわ」は5月で無事1歳を迎えました。

▲産まれたばかりのひとのわ
グラスフェッド黒毛和牛は、穀物主体の肥育とは異なり、牧草を中心に時間をかけて成長します。そのため、同じ月齢の一般的な肥育牛と比べると、現状どうしても小柄になってしまいます。
しかし、毎日しっかり牧草を食べながら、自分のペースで体をつくっていくのがグラスフェッドという育て方です。焦らず見守ることも、この飼育方法ならではの大切な考え方といえます。
牧場では日々の変化を丁寧に見守りながら、「ひとのわ」の成長を楽しみにしています。
また、今月はより良い放牧を目指して、道東で放牧飼育に取り組む、浜中町・日向牧場さま、別海町・たんぽぽ牧場さま、網走市・畜壇さまの3牧場への視察も行いました。


3牧場さまそれぞれに、冬でも放牧を続ける環境づくりや、牛が自ら健康に暮らせる牛群づくりなど、多くの工夫に触れることができました。

放牧には地域ごとの環境に応じた考え方があります。同じ北海道でも立地や気候が異なるため、それぞれの牧場が独自の工夫を積み重ねています。
今回得られた知識も、「ひとのわ」がより快適に過ごせる放牧環境づくりへ活かしていく予定です。
6月の道東は、本州とは少し異なる表情を見せます。
晴れた日は爽やかな初夏を感じられる一方、霧雨の日には最高気温が10℃台前半まで下がることもあります。寒暖差の大きさも、この地域ならではの特徴です。
そんな空模様だからこそ、美しい景色に出会える機会も少なくありません。
ある日の夕方には、牧場の上空に幾重にも重なる虹が現れました。

▲見えづらいですが3重の虹です
地元では4重、5重の虹が見られることもあり、広い空と澄んだ空気に囲まれた道東ならではの風景といえるかもしれません。
忙しい牧草収穫の最中でも、ふと顔を上げれば自然が贈る美しい景色が広がっています。こうした瞬間も、牧場で働く魅力の一つです。
夏本番へ向けて、一番草の収穫を終えた牧場では、牛たちが青々とした放牧地で思い思いに草を食み、穏やかな時間を過ごしています。
これから夏本番を迎える道東。牧草はさらに勢いを増し、「ひとのわ」も豊かな自然の中でゆっくりと成長を続けていくことでしょう。
次回も、北海道湧別町の四季とともに歩む「ひとのわ」の様子をお届けします。どうぞお楽しみに。



