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遅い春を越えて――放牧地で育つ「ひとのわ」の今

北海道オホーツク海側、湧別町の春は、本州の感覚よりずっとゆっくり訪れます。

4月末に蝦夷山桜が咲き始め、5月上旬にようやく満開。夜中に雪が振り、翌日は青空が広がる――そんな季節の移ろいの中で、グラスフェッド黒毛和牛「ひとのわ」は元気に放牧生活を送っています。

ひとのわ

ゴールデンウィークが明けてなお、ミゾレが降る日もありました。
それでも昼前には雪が溶け、牧場には春の日差しが差し込みます。道東では「ゴールデンウィークまではタイヤ交換するな」と言われるほど寒暖差が大きく、5月でも油断できません。

チューリップと雪

▲GW明け。チューリップと雪という本州では中々見られない光景も

ミゾレが降ったその数日後には最高気温27℃。
前日が8℃だったことを思えば、まさに北海道らしいダイナミックな気候です。

そんな急激な変化の中でも、ひとのわは広い放牧地でのんびり草を食み、乾草ロールを自分で崩して“ベッド”にしながら、気持ちよさそうに過ごしています。

干し草の上で一休み

▲干し草の上で一休み。一応その乾草も餌なんですが……

まだ若い雌牛ですが、しっかりとした体つきになってきました。

自然放牧では、単に体を大きくするだけではなく、季節の変化や群れでの生活を通じて、牛本来の力を育てていきます。

春の草を食べ、土の上を歩き、風を感じながら過ごす時間。その積み重ねが、グラスフェッド黒毛和牛ならではの健やかな成長につながっています。

最近では、人が近づいて名前を呼んでも夢中で草を食べ続けるほど食欲旺盛。

頼もしさも増してきました

▲「いい背中です」と思わず笑ってしまうほど、頼もしさも増してきました

今年の春から、ひとのわは親牛たちと同じ放牧地で過ごしています。

ただ、群れの中ではまだ最年少。牛の世界は完全な序列社会でもあり、時には年上の牛たちから強く当たられることもあります。

様子をみながら適宜フォローしていますが、ひとのわが少し体調を崩してしまい、やはり新しい群れでの生活や年上の牛たちとの関係が、少なからず負担になっているのかもしれません。

牛同士の社会があります

そんな中で、そっと寄り添ってくれているのが「ゼロゴ」と呼ばれる牛です。

血縁ではないものの、他の牛から守るように側にいてくれる存在で、牧場でも「面倒見のいい子」として頼りにされています。
群れの中で少しずつ立場を学びながら、安心できる仲間との関係も築いていく。

放牧には、ただ自由に草を食べるだけではない、牛同士の社会があります。

乳牛もいます

▲乳牛もいます

5月後半になると、ようやく気温も安定し、20℃を超える日が増えてきました。
長い冬を終え完全に春と言える季節に突入した道東の牧場は、これから一気に緑が広がっていきます。

ひとのわもまた、群れの中で揉まれながら、少しずつ身体も心も成長していくでしょう。

北海道農陽ファームでは、これからも自然に寄り添った放牧飼育を通じて、グラスフェッド黒毛和牛「ひとのわ」の成長を見守ってまいります。

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