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しばれる道東の冬と、ひとのわの確かな成長

北海道湧別町の冬は、年が明けるといよいよ本番を迎えます。

最低気温はマイナス25度以下を記録し、まさに「しばれる」日々。吐く息は瞬時に白く凍りつき、寒さと向き合う毎日が続いています。

それでも牛たちは、たくましく、この冬を生きています。

12月に離乳を終えた「ひとのわ」。

牧草だけの生活が始まりましたが、まだまだ甘えたい盛りです。

撫でてあげると、うっとりとした表情を見せるひとのわ。

お散歩に出す途中、隙あらば母牛や乳母牛の乳を吸いに行こうとする姿もあり、思わず頬がゆるみます。

外に出た瞬間、嬉しさのあまり尻尾をぴんと上げて走り出すこともあります。雪原を駆けるその姿は、冬の厳しさを忘れさせてくれる光景です。

とはいえ、寒さの厳しい日は無理をさせません。暖かい日を選んで外に出し、それ以外は牛舎内でじっくり体を休めています。

そのかいあってか、ひとのわも随分牛らしいサイズになってきました。

抱きつくようにして写真を撮ると、その大きさがはっきりと伝わります。

先月より横幅が増し、背中からお腹周りにかけての厚みが出てきました。

離乳直後は体高の伸びが緩やかでしたが、草をしっかり食い込めるようになれば、さらに骨格も充実していくでしょう。より牛らしいサイズへと、着実に歩みを進めています。

成長に合わせて「もくし」(牛の頭部に着けるロープ、画像の赤いロープ)も結び直し、サイズを調整しました。こうした小さな変化からも、日々の成長を実感します。

冬の牛たちは、まるで別の動物のように見えるほど毛が伸びます。

ひとのわも例外ではなく、ふわりと厚みを増した冬毛に包まれています。

北海道だからなのか、ホルスタインも同じようにモコモコになります。寒さから身を守るための自然の備え。その姿は愛らしく、同時に力強い。

一方で、人間側の作業は過酷です。

屋根の雪は現在50センチほど。

過去には150センチという記録的な積雪もありました。百年に一度と言われた大雪の際には、牛舎へたどり着くまでに一週間を要したこともあります。

雪下ろしは命がけの作業。氷の層の上に雪が重なった状態は特に危険で、毎年事故のニュースが絶えません。それでも牛たちの命を守るため、私たちは屋根に上ります。

▲転落防止にホイールローダーのバケットを屋根の縁に配置

この冬、牛舎では和牛の双子が誕生しました。

和牛の子牛はもともと繊細ですが、双子となるとさらに体力が弱くなります。1頭は骨折した状態で生まれ、治療と看護が続きました。脱水症状には点滴で対応し、暖房の入ったハッチで慎重に管理します。

▲ハッチを開けた所。双子なのでハッチが2つ並んでいます。

「2頭生まれてお得」という単純な話ではありません。

むしろ世話は倍以上。診療も増え、神経を張りつめる時間が続きます。

それでも、小さな命が必死に立ち上がろうとする姿には、胸を打たれます。

春生まれのひとのわにはなかった冬特有の難しさ。

同じ命でも、季節によって環境はまったく違うのだと改めて感じさせられます。

ひとのわは、有機牧草で育つグラスフェッドの黒毛和牛です。

濃厚飼料に頼らず、草を食べ、時間をかけて体をつくる。

成長は決して急ではありません。しかしその分、内側からしっかりとした体を築いていきます。自然のリズムに沿った飼育は、冬の厳しささえも受け止めながら、牛本来の強さを引き出していきます。

牛舎の中で甘え、雪原で走り、草を食み、少しずつ大きくなる。

その積み重ねが、未来の一頭を形づくるのです。

しばれる道東の冬は、まだ続きます。

暴風雪の日もあれば、静かに晴れ渡る朝もある。

そのすべての時間の中で、ひとのわは今日も確かに成長しています。

どうぞ引き続き、ひとのわの歩みを見守ってください。

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