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「ひとのわ」が迎える初めての冬

カレンダーは12月に入り、「ひとのわ」が育っている牧場がある道東・湧別町では「本格的な冬の始まりを迎えました。

「ひとのわ」と初めての銀世界

日が落ちるのが早くなり、午後4時を過ぎればあたりはもう真っ暗です。

そんな暗がり砂利道を横切る白い影!!

何かと思って目を凝らしてみると、すっかり真っ白な冬毛になったエゾユキウサギでした(すいません、カメラ間に合いませんでした)
夏の間は茶色かった毛が、いつの間にか雪のような冬毛に。
野生動物たちは、私たち人間よりも一足早く、完璧な冬支度を整えているようです。

そんな真っ白なウサギを見送った数日後、牧場にもとうとう雪が積もりました。

1_温度計

これまで青々とした草地を踏みしめてきた「ひとのわ」にとって、一面の銀世界は生まれて初めての経験。
放牧地に出ると、「ひとのわ」は興味津々な仕草であたりを見回すも、初めての雪に戸惑っている様子。

2_冷たい雪

▲冷たい雪の感触を確かめるように歩く姿を撮影しようとカメラを構えましたが、指が痛くなるほどの寒さです

人間にとっては辛い寒さです。
しかし、「ひとのわ」は、ふかふかの冬毛(冬用の分厚い毛)に覆われ、寒さをものともしない頼もしい(?)表情を見せています。
ウサギしかり、自前で防寒着を用意できる動物たちが羨ましい限りです。
天気が良いと雪は一度溶けてしまいますが、根雪になるのも時間の問題でしょう。いよいよ北海道の長い冬が始まります。

離乳、そしてお姉さんへ

寒さが厳しくなる一方で、「ひとのわ」は大きな成長の節目を迎えました。 今月12月から「完全離乳」となり、母牛のお乳を卒業したのです。
体重は126kgとなり順調に、そして逞しく育っています。これからは母乳に頼らず、有機牧草をしっかり食べて、自らの力で寒さを乗り越えていかなければなりません。

3_11月のひとのわ

▲11月下旬ごろの様子、まだ雪は積もっていません

そして牛舎では最近、立て続けに4頭の子牛が生まれ、ベビーラッシュを迎えています。

「ひとのわ」もお姉さん牛の仲間入りです!

生まれたばかりの子牛にとって、北海道の冬は命に関わる厳しさです。そのため、まだ体温調節が苦手な赤ちゃん牛たちには、「カーフジャケット(子牛用の防寒コート)」を使用することもあるのですが、もうジャケットを必要としない「ひとのわ」の姿に、改めて彼女の成長を感じずにはいられません。

循環する農業、広がる有機牧草の需要

「ひとのわ」たちの命を支える牧草。
彼女たちが育つ仲牧場自慢の有機牧草なのですが、今年は5月末から10月上旬にかけて、約700個の有機牧草ロールを収穫することができました。 仲牧場がこだわり抜いて育てたこの有機牧草は、地元・十勝の牧場だけでなく、はるばる千葉県の牧場にまで販売されています。

4_ひとのわが食べる草

昨今、物価上昇や円安の影響で輸入飼料が高騰し、多くの酪農家が苦境に立たされています。 しかし、仲牧場が取り組む有機牧草は、牛の排泄物から堆肥を作り、それを畑に還して草を育てる「循環型農業」。海外情勢に左右されにくく、経費を抑えられるという強みがあります。

実は、環境に優しいだけでなく、牧場経営の持続可能性(サステナビリティ)を守る上でも、有機牧草は大きな可能性を秘めているのです。 「ひとのわ」が食べる草が、未来の農業を支えるモデルケースになればと願っています。

寒さはこれからが本番。現場の熱気と「ひとのわ」の成長を、引き続き皆様にお届けしていきたいと思います。

次回更新まで、皆様も温かくしてお過ごしください。

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