北海道湧別町では、短い夏の終盤を迎えています。

とはいえ、今年の夏はなかなか思うような空模様にはなりませんでした。
例年ですと「蝦夷梅雨」と呼ばれる霧雨に包まれる場合が多いのですが、今年は雨が多く北海道にはなかった「梅雨」が発生し難儀しました。

▲雨が降らずとも曇天の日も多かったです
ちなみにですが、北海道では、こうした細かな霧雨を「ジリ」と呼びます。
ジリが降ると、夏でも思わず暖房が欲しくなるほど肌寒くなることがあります。一方で晴れれば気温が上がり夏らしい気温に。
牛たちにとっても人にとっても落ち着かない天候で大変です。

▲晴れれば30℃を優に超えてきます。気温差がスゴいです
牧草の収穫にも悩まされました。晴れていても湿度が高ければ、乾草はなかなか思い通りには仕上がりません。空を見ながら刈るタイミングを探る日々――自然を相手にする仕事の難しさを、改めて感じる夏でした。
前回のブログでもお伝えした通り、春から大人の牛たちと暮らし始めたひとのわには、同じくらいの年齢の仲間がおらず、群れの中で孤立してしまいストレスで体調も崩してしまいました。
そこで、7月末から、ひとのわが安心できる乳母牛と2頭だけで一緒に過ごせる区画へ改めて放牧したのですが、それが功を奏し今では2頭並んで青草をお腹いっぱい食べ、のんびりとした時間を送っています。

青草をたっぷり食べたあとのお腹は、見事なほどパンパン。食欲旺盛です。
一時はストレスで抜けていた顔まわりの毛も、少しずつきれいに生え揃ってきています。
牛にも性格があり、心地よい距離感もそれぞれ違うのでしょう。広い牧草地で自由に過ごすことだけが放牧ではなく、その牛が落ち着いて草を食べ、休める環境を準備することも日々の飼育の一部。今のひとのわを見ていると、乳母牛との2頭暮らしは性に合っているようです。
そして8月、牧場には新しい顔も加わりました。

▲石狩市のこころデイリィーファーム様からやってきた、ジャージー種の「ミミ」です
まだ1歳を少し過ぎたばかりの若い牛で、大切に育てられてきたことが伝わってくる、とても愛らしい姿をしています。
すぐにひとのわたちと一緒に放牧するわけではありません。
まずは新しい環境に慣れてもらい、健康状態や性格をゆっくり確認していきます。
どんな牛なのか? ひとのわとの相性はどうなのか?
しばらく先にはなりますが、いつか同じ牧草地で並んで草を食べる姿が見られるかもしれません。その日が今から楽しみです。
夏の間に勢いよく伸びた青草を、毎日たっぷり食べているひとのわ。ゆっくりではありますが、身体もしっかり大きくなってきました。

有機牧草を中心に、その牛自身のペースで育てていくグラスフェッド黒毛和牛の飼育。数字だけを追うのではなく、食べる姿や身体つき、そして日々の様子を見ながら成長を確かめています。
ジリに包まれた日もあれば、夏らしい青空が広がる日もある道東の牧場。
季節はこれから秋へ向かいます。乳母牛と穏やかに過ごすひとのわ、そして新しく加わったミミ。それぞれがどのように育っていくのか。これからの牧場が少し賑やかになりそうです。



